作ってみよう!事業計画

計画のない事業では創業はまず考えられません。
事業計画とは 「未来の設計図」 です。
事業の行く末がわからなくなった時、迷った時に再確認できる地図となります。
ぜひ明るい気持ちとたくさんの言葉で書いてみましょう。

具体的な事業計画の作成方法

事業計画とは何か

事業計画とは、あなたの歩む「事業の未来設計図」と考えてください。
道に迷った時に地図を見るのと同じように、事業計画は事業の行く末がわからなくなった時、迷った時に現状を確認する地図となり
ます。
あなたの事業=自分の将来を描くものですので、ぜひ明るい気持ち、前向きな内容を書いてみましょう。
数値を記載していると現実がより明確に見えてきたりして、何を書いたら良いか分からないときもあるかもしれません。
分からないことをそのままにするのではなく、その時は是非、最寄りの商工会や商工会議所などを活用してください。
経営相談の窓口へ足を運んで相談してみましょう。

何のために事業計画を書くか

事業計画を書く目的にはいくつかあります。
また読み手が社員であったり、金融機関であったりと、読み手もその都度変わります。その前提で読み手を意識することが大切です。 「大元となる事業計画」を作成し、目的や読み手に合わせて微修正をしましょう。

資金調達のため

金融機関からの借入を前提として考えている方は、事業計画が必須となります。
事業計画の無い資金調達は出来ないと思ってください。
商工会・商工会議所が準備しているフォーマットや金融機関が準備している事業計画のフォーマットがあれば、そのフォーマットを活用して必要事項を記載していきましょう。

事業の内容の確認と合意

ご夫婦や元同僚など、近しい間柄とともに創業する方は、 事業計画をともに作りコンセンサス(合意)をとることが必要です。
いつも一緒にいるから、いつも話しているから、同じ考えだからといって安心はできません。文書化・明文化していないと、わずかなズレが数年後に大きなズレになっている こともあります。

事業の問題点を抽出して失敗のリスクを減らす

事業計画書を記載していく上で、もしプロセスで書けない項目があったとしたら、自分が苦手な部分や検討していない部分ではないでしょうか?その明確点、解決できていない問題点を把握したうえで、ときには他人の力を借りることも検討し、検討すべきところをきちんと検討し、確定しておきましょう。

事業の進捗を管理する

事業計画は、創業時に作って終わりというものではありません。
理想としては毎年更新しながら作成していくものです。その過程で事業の進捗状況をチェックすることができます。
今の時代、事業計画を作った時の経営環境が突然大きく変わるかもしれません。
事業計画を頻繁に再確認し、次の行動、事業に活すことができるツールになります。

[参考]創業計画書を作成してよかったこと

・事業の内容や特徴を 整理できた
・自社の強み・弱みを 整理できた
・欠けていた視点に気づくことができた
・民間金融機関から円滑に資金を調達できた
・起業後、見込み違いの点や 修正すべき点にすぐに気づけた
・起業することに 自信がもてた

(出典: 「創業の手引き」 日本政策金融公庫国民生活事業)

事業計画に書くべき項目とは

事業計画には決まった形はありません。なのでフォーマットを提供している機関などによって少しずつ違いがあります。 そのため、目的に合わせてフォーマットを選択し、求められる内容を記載していきましょう。 どのようなフォーマットであっても、以下の項目は記載することが求められます。

事業の概要

あなたの事業に魅力があることを伝えるため文章化しましょう。
先輩である事業者がたくさん事業計画書を作成しています。
その中には同業者も多くいらっしゃいます。
事業計画書の最初の部分で読み手が魅力を感じれば、続けてよい印象を持って読み進めてくれますし、より良いアイデアも集まる可能性もあります。
読み手にとっての魅力は、お客様にとっての魅力にもつながりますますので考えてみてください。

経営理念とビジョン

取扱商品やサービスのスペックだけでは、大企業をはじめとする競合他社と差別化するには非常に難しいのが現状です。しかし、事業に対する思い、経営に対する思いは創業者であるあなた自身のものであり、お客様だけでなく従業員やパートナー企業を惹きつける大きなパワーを持っています。ぜひ創業から経営までの思いや理念を熱く語り、計画書にも記載してみましょう。

競合分析

同業他社だけでなく代替品も含めると競合企業となるライバルは必ずいますし、数も多いと思われます。
数あるライバルの中で自社の事業の「差別的優位性=他社と差別化できる優れたポイント」を明確にしましょう。
ライバルはないということは、「もしかするとライバルを見つける能力がない」 と読み手にとらえられる可能性もありますので柔軟に考えることが必要です。

マーケティング

創業をするということ=売上ゼロ (顧客ゼロ) からスタートするということになります。そのため、いかに顧客を見つけ確保するか? 顧客との信頼関係性を構築するか?というマーケティング活動は非常に重要であり読み手は気になる部分になります。 必要な項目を網羅的に、かつ具体的に検討することが必要です。またその計画に費やす費用も見積もっていきましょう。

数値計画

もし融資を前提にした計画だとすれば、金融機関へ計画を見せることになります。金融機関では「数値計画の説得力」によってその事業計画の良し悪しを判断します。
例えば売上高であれば、単純に総額で見積もるのではなく、 数量 (何名の顧客に対し) ×単価 (平均販売単価はいくらになるのか)で見積の根拠を示します。妥当性が高く、具体化できる可能性が高いと判断できれば、説得力のある数値計画となります。創業後の経営目標値として管理することもできますので金融機関の融資担当者からすれば好印象に見える計画になります。

創業者プロフィール

信用力や資金力が不足している(ゼロに近い)新米創業者には、創業者自身の経験や人柄、事業にかける思い などが大きな力をもちます。 自分自身を売り込むことができれば、それが商品の販売にも直結します。どのように信用力を確保し、自分自身のファンになってもらうことができるのか?そんな自分と事業の妥当性を考え、プロフィールを作成してみると良いでしょう。

[参考]創業計画書に記載した内容

・事業の目的やコンセプト
・商品・サービスの 内容や特徴
・ターゲットとする 顧客の特徴
・必要な運転資金の額
・起業後の収支予測

(出典:「創業の手引き」 日本政策金融公庫国民事業)

事業計画策定のポイント

事業計画を策定する際のポイントを記載します。
書いている自分自身の熱がアガるような、思いの詰まった事業計画書が作成できると良いでしょう。

明確に

事業計画書は、相手に伝えて、相手が理解できて、相手が協力したいと思うような気持ちの変化が起こせるかどうかが第一目的です。 わかりやすく明確に記載していきましょう。 ヒントとしては金融機関にお勤めの方、担当者になる方々は、皆さんの事業をやったことが無い方が多いと思いますので、その方が理解できなければ、融資が難しいと判断されることもあり得ます。

完全に

事業計画書に記載すべき項目について 「完全に」することを目指しましょう。
「完全に」とは、定性的な部分も、定量的な部分も、数値の部分も網羅的に書くという意味です。
ただし覚えておいていただきたいのは「完璧に」ではありません。
もし「完璧に」 書こうと思ったら、いつまで経っても完成しませんのでご注意くださいませ。

簡潔に

文章は長く書く必要はありません。
簡潔にわかりやすい記載を心がけましょう。
誤字脱字もないようにチェックをしたいところです。
誤字脱字の多い計画書は、漏れやミスが多い経営者なのではないかと思われる可能性があり、印象を悪くしますのでご注意ください。

率直に

当たり前かと思いますがプロフィールに嘘を書いたり、今後の課題を隠したりする必要はありません。
率直に正しく記載することが良いでしょう。
またすでに引き合いがある、販路を確保しているなどのプラスと思われるポイントについては、積極的に記載しPRしましょう。
創業者は、野球に例えるとまだ1勝もしていないルーキーのようなものです。
期待はあっても、売上を上げていないという点において、信用がありません。
・自分のPR
・他社の応援
良い説得材料はこの2つだけになる場合が多く見受けられます。

控えめに

売上見込みや目標を高く持つことは大切ですし、重要でもあります。
しかし、あまりにも過大な目標は非現実的であると判断されます。
もちろん先のことはわかりませんし、夢を描くことは大切ですが、十分に数値化して見ることが良いでしょう。
見込みなどについては現実的な判断や根拠(エビデンス)も併せて記載しましょう。

体裁

前記したように手に入れられる事業計画書のフォーマットには提供機関によって少しづつ違いがあります。
必ずしもパワーポイントのスライドやワードでなくても読み手が心地よく読み込めれば手書きで記入しても構いません。
事業計画書を作成する目的や読み手の気持ちを考えながら体裁を検討し ましょう。